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【デッドストック本】『老いて生きる』〜映画「おてんとうさまがほしい」を語る〜

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編著 貞末麻哉子(寄稿◉佐藤真、長谷川健、堀禎一、岡田正勝) 編集協力 長谷川健 語り 渡辺生 1995年刊(凱風社・デッドストック) 128頁/上製本/四六判/カバー帯あり ドキュメンタリー映画作家、佐藤真が編集に携わった、知る人ぞ知る名作短編映画『おてんとうさまがほしい』の制作の裏側を綴った映画本とも言える一冊。撮影者であり被写体でもある照明技師、渡辺生の、アルツハイマーになった妻への思いと、記録への執念。そしてプロデューサー、貞末麻哉子の揺れる気持ちと、佐藤真らによる編集のポイントなどを綴った、映画関係者必読の書。 下記は1995年凱風社刊行時の山根貞男による書評。 ___________________ 書名どおり、老いて生きるとは何かを語った本である。と同時に、ここがとてもユニークなところだが、読む者をしみじみワクワクさせる映画の本である。120ページばかりの小さな世界で、人生と映画が熱く交わり渦巻いている。  現在77歳の映画照明技師が、数年前から、アルツハイマー病になった妻を撮りつづけ、47分の映画として完成した。題して「おてんとうさまがほしい」。  ビデオとフィルムの映像の交錯するなか、妻の発病→入院→闘病の過程がつづられ、その間、結婚歴30数年の歩みや、老人医療・介護の問題などが浮かび上がる。本書はそのドキュメンタリー映画についての本である。  全体の構成が面白い。映画を撮った渡辺 生ご本人のおしゃべりと、貞末麻哉子プロデューサーの文章と、親子以上にも年齢の違う男女二人の言葉が交互にでてきて、いわば対話をくりひろげるのである。  彼が妻にキャメラを向けた思いを語り、老いや痴呆をめぐっての感慨をもらして、ある人生の形を伝えているいっぽう、彼女はベテラン照明技師との出会いと十数年の関わり、今回の映画づくりの二転三転した経緯を記して、映画の現場を差し出す。読むうち一つの葛藤がみえてくる。当然の話だが、渡辺 生は妻の病気や老人医療にこだわるなか、個人と社会とのあり方へ関心を向けていく。これに対し、貞末麻哉子は、渡辺 生のそのエネルギーをどう映画の魅惑に結晶させるか、その一点に執着する。そこに見られるものを、映画をめぐる社会性と表現の葛藤と呼んでよかろう。そこへさらに、今回の映画の構成・編集を担当した佐藤 真(「阿賀に生きる」の監督)や、医療現場の人々の発言も加わり、渦巻は熱くうねってゆく。映画「おてんとうさまがほしい」はドキュメンタリーとして刺激的だが、それの副読本ともいえる本書も、人生と映画に関する素敵なドキュメンタリーとして息づいている。(凱風社刊) 映画評論家 山根貞男 (産経新聞 書評欄 1995年 4月25日 掲載)

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